日々の”楽しい”をみつけるブログ

福岡県在住。九州北部を中心に史跡を巡っています。巡った場所は、各記事に座標値として載せています。座標値をGoogle MapやWEB版地理院地図の検索窓にコピペして検索すると、ピンポイントで場所が表示されます。参考にされてください。

両子寺(ふたごじ)の珍しい景色 ”鬼の背割り”ってどんなところ?

国東半島のほぼ中央に標高720mの両子山(ふたごさん)がある。この両子山の中腹、だいたい標高350mのところに両子寺(ふたごじ)が建立されている。両子山はずっと昔火山でした。火口から吹き出た岩片や火山灰が降り積もり、これが風雨に浸食された。その結果、ゴツゴツした奇怪な景観を両子山周辺ではみることができる。

 

そんな両子山の標高450m地点…両子寺境内から少し両子山山頂にちかづいた場所で、↓”鬼の背割り”と呼ばれるスポットがある。

”鬼の背割り”があるのは、地図でいえばこのあたり↓。両子寺の”奥の院”から北へ190mほどの場所。地形図では、付近に点線で表されている登山道がみえる。両子寺境内からも、この鬼の背割りまでは行くことができるけど、今回は登山道から近づいてみた。

 

"鬼の背割り"はちょうど標高500mの主曲線あたりにある。

両子寺から両子山山頂へ続く登山道の脇には↓こんな感じで案内の看板が立てられている。10mほどの高低差のあるゆるやかな山道を5分ほど登れば、すぐに巨大な岩石にいきつく。

パッカリと半分に割れたように見えるこれが”鬼の背割り”。伝説では、力持ちの僧が道を開けるために、背中で大岩を割ったとされる。

国東半島の地質は、鮮新世(せんしんせい)の火山砕屑岩(かざんさいせつがん)と,第四紀の両子火山噴出物が覆っているとされている。

 

↓この表の、赤い部分の時代に噴出した火山岩・火山灰が、両子山を形づくっている。国東半島の地質は何万年もの歴史がある。

どうやって、この割れ目ができたのかはわからないけど、もともと大きな二つの岩がぴったりくっつき合ってたのかもしれない。その岩の隙間に雨水が入り込み、少しずつ隙間を浸食して今のような、一つの岩がパッカリ割れたような景観がつくられたのかも。

ゴツゴツした岩肌には複数のくぼみがある。よく見ると、そのくぼみに観音様が祀られている。

岩石の間を通るとき、上をみあげる。

岩石の巨大さと、岩のゴツゴツとした形態に圧倒される。

 

”鬼の背割り”から南東へ進む。舗装された登山道方面を眺める↓。

きれいに湾曲した窪地になっている。

↓来た道をふりかえると、地図どおり、地形は南南西に向かってなだらかな傾斜を形づくっている。

”鬼の背割り”から↓下地図の緑丸部分まで南に進むと、また大きな岩石が立ちはだかる。

大きな岩石の足元には、こんな小さな穴がある。この小さな穴が、”針の耳”と呼ばれるスポット。人ひとりがやっと通れるほどの小さな穴に向かって鎖が下りている。四つ這いになって穴をくぐっていく。

”針の耳”から向こう側の景色を見る。

穴をぬけると、この場所にもたくさんの観音様が祀られている。

↓周囲の覆いかぶさるように迫ってくる岩壁には、やっぱり観音様が祀られている。よくあんなところまで登ったな…と感心する。

”針の耳”から尾根に沿って徐々に下山してゆくと、舗装された登山道に戻ることができる。(↓オレンジ色のルート)

”鬼の背割り”ってどんなところなのか?国東半島は、なんだかどんよりと曇っている日が多いイメージ。訪れたこの日も霧がたちこめて、山の中は薄暗かった。「グワッ」とせまってくるような岩石の迫力は圧倒的で、そんな岩の割れ目から落ちてくる弱い日の光が幻想的だった。

 

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