修正鬼会(しゅじょうおにえ)はいまでは、大分県豊後高田市の天念寺、東国東郡国東町の成仏寺、岩戸寺の三か所のみで行なわれています。江戸時代までは、なんと天台宗二十八本寺すべてで行なわれていたそうです。
天念寺では、修正鬼会は旧暦の1月7日に行なわれており、2018年では2月22日に開催されました。
天念寺修正鬼会の鬼役には赤鬼である「災払鬼(さいばらいおに)」、黒鬼である「荒鬼(あらおに)」そして男女の面をつけた「鈴鬼」があります。
さらに調べてみると、こちらの論文では「鎮鬼」というものがあると書かれています。ちょっと整理してみると、修正鬼会の鬼には4種あるということがわかります。
・災払鬼(さいばらいおに)
・荒鬼
・鈴鬼(すずおに)
・鎮鬼(しずめおに)
では天念寺の鎮鬼はどうなったのでしょうか?ほかの成仏寺と岩戸寺では4種の鬼がいるのでしょうか?各寺院の修正鬼会で出てくる鬼を調べてみました。
成仏寺では鈴鬼、災払鬼、荒鬼、鎮鬼の四種がおられるようです(参照)。一方、岩戸寺では鈴鬼、災払鬼と鎮鬼の二種がおられます(参照)。各寺院によって出てくる鬼と、そうでない鬼がいるようです。表にまとめるとこんな感じです↓
どうしてこういう違いがでたのでしょうか?そのひとつのヒントになるエピソードが国東半島物語: 小さな旅に紹介されていました。
昔、ある僧が荒鬼になり、鬼走りをするとまるで鬼の精が乗り移ったかのように激しく暴れまわった。ついには結界石(鬼止め石)を越えて村境まで走り狂ったはてに死んでしまった。そのとき付けていた鬼面は、はるかに伊美の権現﨑まで飛んで岩にくらいついた。だから岩戸寺の荒鬼はほんらい三体あるべきが、災払鬼と鎮鬼の二体だけになったといわれている。(P167-168)
ここでは岩戸寺の荒鬼がどうしていないのかが語られています。どの寺院の修正鬼会でも共通して言えることが、災払鬼、荒鬼を招く鬼が↓下の写真に紹介している鈴鬼ということです。
↑男女の面をつけた鈴鬼
どの寺院でも災払鬼、荒鬼、鎮鬼を招くために鈴鬼が、9種あるいは10種の大鬼を招くための法舞を舞うそうです(参照:https://ci.nii.ac.jp/els/contents110004035822.pdf?id=ART0006294398)。成仏寺では9種、天念寺では10種の法舞とどうも天念寺ではひとつ法舞が多いようです。
四種それぞれの鬼がどんな役割を持っているのか?天念寺特有の鈴鬼はどんな鬼なのか?疑問がまたでてきたので、追って調べてみようと思います。